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2006年11月18日

手続きの重要性

今日は手続きの重要性についてです。
これは解雇だけでなくさまざまな場面においても共通します。

やはり、手続きは重要です。
なぜか??

例えば、裁判の結果は常に正しいですか??
答えは、ノーです。
人間がすることですから、間違う場合もあります。
刑事事件で言えば冤罪です。

裁判の結果が正しいかどうか、
そんなことは実は誰にもわかりません。
ですが、裁判の結果には通常拘束されます。
なぜですか??

それは、手続きが適正だからです。
結果が正しいかどうかの判断が困難な場合、
結果に至る手続きが適正か否かが重要です。

適正な手続きに基づいて裁判が行われ、
その結果出た判決なのだから適正だろう、という推定が働くわけです。
手続きを省いたら結果の正当性が薄れます。
だからどんなひどい刑事事件でも、刑事被告人は税金で国選弁護人
を頼むことができます。
手続きの適正を確保するためです。

前置きが長くなりましたが、本題に戻ります。
解雇が正当か否かをどう判断しますか??
通常は判断が難しいです。
ですから、手続きが適正だったのか、これが大きな判断基準となります。

法令、就業規則上の手続きに基づいていたか、
懲戒解雇であれば、弁明の機会を与えたか、
整理解雇であれば、対象者との十分な協議が行われたか、等々です。

手続きについては慎重な対応が要求されます。
この機会に手続きの重要性を再認識していただければ幸いです。


※就業規則、労務管理、労働法その他労務に関するご相談は、
日吉社会保険労務士事務所

2006年11月17日

整理解雇について

解雇については判例法理により労働者保護が広範に図られている
ことはこのブログでも以前に取り上げました。

今日は整理解雇についてです。
整理解雇については有名ないわゆる整理解雇4要件
というものがあります。

具体的には、
(1)整理解雇を行う必要性があるか(相当の必要性)
(2)解雇を回避するための最大限の努力をしたか(最後の手段性)
(3)解雇対象者の選定に合理性があったか(合理性・公平性)
(4)十分な協議等が行われたか(手続きの妥当性)

4要件については、文献ごとに表現が微妙に異なったりしますが、
概ね上記の4点です。
どれも重要なのですが、(4)の手続きの妥当性については
非常に大切なので、また改めて取り上げます。

ただし、判例については徐々に変化してきているという
評価が一般的かもしれません。
具体的には、4要件というのはあくまで整理解雇が妥当か否かを
判断するために類型化された基準であって、
常にすべての要件が厳格に要求されるわけではなく、
各事案ごと個別具体的な事情を総合考慮して判断する、
という考え方です。
判例はよくこのような表現を使います。
より妥当な結論を導くためです。

ですから4要件はあくまで一つの目安ということで、
4要件を満たしていないから解雇権濫用、
4要件を満たしているから解雇権濫用ではない、
という形式的な判断ではなくより実質的に判断される
と考えておいた方がいいと思います。

その意味でも(4)の手続きの妥当性は重要です。


日吉社会保険労務士事務所

2006年11月16日

就業規則に「退職する場合は1ヶ月前に届け出ること」と記載することは可能??

就業規則に「退職する場合は1ヶ月前に届け出ること」と
記載することは可能ですか??
これは会社側からすると、もっともな疑問です。
とくに中小企業の場合は、退職者がでても、代わりの人をすぐに
みつけるのが難しい。あるいは、一人が幅広い業務を行っているため、
引継ぎに時間がかかる等の事情があり、最短でも1ヶ月前には
届け出て欲しいと考えるのはある意味自然なことです。
会社によっては2、3ヶ月ぐらい前に届け出て欲しいと考えるかもしれません。

しかしながら、従業員側から退職の意思表示があった場合、
会社が法的に拘束できる期間は最長2週間です。

退職の意思表示をしてから2週間経過するとたとえ会社の
承諾がなくても、退職の効力は発生してしまいます。

根拠条文は、民法627条第1項です。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、
いつでも解約の申し出をすることができる。この場合において、
雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって
終了する。」とあります。

したがって、会社は2週間以上拘束することはできません。
就業規則に「退職する場合は1ヶ月前に届け出ること」と記載する
ことは、社会通念上、一定の合理性があるので無効とまでは言えないと
考えられます。
ただし、あくまで会社側で法的に拘束することができるのは2週間です。
(逆に、従業員側は2週間前に退職の意思表示をする必要があり、
「明日退職します」というのは会社側が承諾しない限り認められません。)

もっとも、現実問題として、退職する場合にはなるべく早く申告して
欲しい、と考える事業主は多いはずです。
日ごろから、そのようにお願いしておくのもいいかもしれません。
あるいは、代わりの人材の採用や、引継ぎに時間がかかるようでしたら、
本人の理解(同意)を得たうえで、退職日を先に延ばしてもらうよう相談
してみるのも一つの方法です。(強制はダメです)

日ごろから労使間の良好な信頼関係を保つことが大切ですね。


就業規則に関するご相談は、日吉社会保険労務士事務所へ

2006年11月15日

退職時の証明書について

労働基準法第22条第1項
「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業に
おける地位、賃金又は退職の自由(退職の事由が解雇の場合にあっては、
その理由を含む。)について証明書を請求した場合において、使用者は、
遅滞なくこれを交付しなければならない。」

会社側は退職者から請求があった場合、拒むことはできません。
また、退職時の証明書は雇用保険の離職票とは別のものです。
離職票を交付したことを理由に拒むことはできないので、注意してください。

退職者は、退職と同時に証明書を請求することは当然できますが、
退職後に請求することもできます。
請求回数に制限はありませんが、
証明書の請求権は2年経過すると消滅してしまうので注意が必要です。

※注意点
この退職時の証明書に社員の請求していない事項を記入することは
認められません。
例えば、退職時の証明書を請求された場合、
退職の事由や解雇の理由は、
本人が希望しない場合は記入することはできません。
あくまで請求された範囲内での交付となります。
退職時の証明書は、会社の義務ではなく、あくまで労働者のための
権利だからです。
請求された範囲内で会社側に義務が生じます。


※就業規則、労務管理、労働法その他労務に関するご相談は、
日吉社会保険労務士事務所

2006年11月14日

解雇理由の証明書

労働基準法は、退職時の証明書とは別に、
解雇理由の証明書についても規定しています。

労働基準法第22条2項
「労働者が、解雇の予告がされた日から退職の日までの間
において、当該解雇の理由について証明書を請求した場
合において、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければなら
ない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該
解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、
当該退職の日以後、これを交付することを要しない。」

解雇の理由は具体的に記入する必要があります。
就業規則に基づく解雇の場合は、
該当する条文の条項・内容、該当するに至った事実関係
を記入する必要があります。

※注意点
退職時の証明書、解雇理由の証明書ともに、
社員の請求していない事項を記入することは認められません。


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2006年11月13日

解雇予告はいつまで??

前回のブログにも書きましたが、従業員側から会社に退職の
意思表示があった場合、法的には2週間経過後に効力が発生します。

根拠条文は民法627条第1項。
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は
いつでも解約の申し出をすることができる。この場合において、
雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって
終了する。」でした。

では、逆に事業主側から解雇の意思表示をする場合は??
民法上は、2週間とありますが、労働者保護の観点から、
労働基準法第20条において修正しています。
具体的には、
(1) 原則として、30日前に解雇の
意思表示である「解雇予告」をする必要があります。

(2) 30日前に解雇予告をしない場合は、
平均賃金の30日分以上の支払が必要です。
いわゆる「解雇予告手当」です。

(3) あるいは、例えば10日前に解雇予告をした場合に、
平均賃金の20日分以上の解雇予告手当を支払うというような
折衷的な対応も可能です。(1と2を併用するイメージです)

上記はあくまで労働基準法上の規制です。
解雇については、労働者保護の観点から、法律だけでなく、
判例法理により大幅に修正されています。
解雇予告をすれば解雇できるわけではないので注意が必要です。

詳しくは、お近くの社会保険労務士等にお問い合わせください。

2006年11月12日

解雇について(概要)

「解雇」とは、
事業主側の一方的な意思表示による労働契約の解消です。

解雇にも大きく分けて2種類あります。
普通解雇と懲戒解雇です。
労働契約の期間が満了した場合や、
自ら退職を申し出た場合はは解雇に該当しません。

解雇については、以前は法令ではなく判例法理により労働者の救済を
図っていましたが、平成15年に労働基準法が改正され解雇に関する
規定ができました。
労働基準法第18条の2です。
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする。」

企業側に雇入れの自由は比較的広く認められると考えるのが
一般的ですが、解雇の場合はかなり制限されます。

就業規則に解雇事由となる場合を必ず記載しなければなりません。
就業規則において解雇事由として記載された事由以外での
解雇の場合には、裁判所ではほぼ受け入れられない、
ぐらいに考えておいた方がいいと思います。
裁判になるとどうしても企業側に不利になる傾向がありますので、
注意が必要です。

就業規則に解雇に関する規定を掲げていない、
あるいは古い就業規則で規定が不十分な場合は、
早めの対策をお勧めします。

トラブルが発生する前に、対処する。
リスク管理がこれからもっと大切な時代になると考えています。


※就業規則、労務管理、労働法その他労務に関するご相談は、
日吉社会保険労務士事務所